第二話「マジシャン生活」
「では、試験がありますのでそれに合格すればあなたはマジシャンになれます」
そう魔術師ギルドの人間は私に教えてくれた。試験内容は薬の調合らしく、それに関する資料も貸し出してくれたためさほど苦労もなく合格することができた。
「それで、私はギルド員として何をすればよろしいのですか?」
私は試験官に尋ねた。元の世界ではギルドに所属するかわりに、秘密守秘や厳しい罰則が存在したものである。特にシーフギルドは本職以外には、場所すら教えられないものであった。しかし、返ってきた答えは予想外のものだった。
「特に何もありません。町の外で修練を積み、マジシャンとしての腕を磨いてください」
「・・・・はぁ?」
上納金もなければ、定期的に顔を出す必要もないことを知って気が抜けてしまった。逆にいえば、いざという時に頼ることもできないのだろう。
とりあえず私は街の外のモンスターを倒すことにした。魔法でバッタやイノシシ・・・後で調べたがロッカーとサベージベベというらしいが、何度も倒している内に慣れてきた。
「少しずつ魔法力も戻ってきましたし、あの丘を越えてみますかね」
丘の上から草原を見渡すと、見たことのあるモンスターが群れをなしていた。
自分の知識では、最下級のモンスターとして名高い相手である。
「あれは・・・・コボルト。こっちの世界にもいたのですか。どれ、軽くひねってあげましょう」
・・・・・1分もたたない内に草原に横たわるロントがいた。
「世界が違えば強さも違うということですか・・・・無念」
薄れゆく意識の中で、この世界について詳しく調べようと思うロントだった・・・・。