第三話「モロク紀行」
雑魚だと思っていたコボルトに一撃でやられてから、私はこの世界について調べることにした。
やはり街ごとにモンスターの生息地があるのだが、峠を越えるといきなり別のモンスターがいることもある・・・というよりその場合が多いらしい。
「生息地については丸暗記するのが一番のようですね・・・・実際に調べた方が早いでしょう」
とりあえず今とは気候の違う街を目指して、モロクというところに着いた。道中危険なモンスターに出くわさなかったのは幸いである。
なんでもここは多くのマジシャンが修練を積む街として有名であるらしい、ホードという巨大なミミズを倒せるようになれば、初心者は卒業であるとギルドの人が教えてくれた。
「ロントさんもこれからホードのところです?」
・・・実はゲフェンで、魔術師ギルドとは別のギルドに勧誘された。
話を聞くと、マジシャンのみで構成されたギルドらしく、私は色々教わることもあるだろうと入隊した。
こちらの世界ではこう言った職業を統一したギルドは珍しいらしいが、私は逆に懐かしいものを感じていた。
「私はしばらく街を見て回りますよ。なんせこの街に来たのは初めてなもので・・・」
そう私は答えるとギルドのメンバーはお先に、と残して街の南へ消えていった。
「しかし熱い・・・・木の下で少し休むとしますか」
砂漠の街でも、木陰は案外涼しいものである。のんびりと休んでいるうちに眠ってしまったようだ。
目を覚ました私の目に飛び込んできたものは・・・私を取り囲んでいる街の衛兵達だった。
「子供を使って盗みをさせるとは・・・・このモロクの街でいい度胸だ!」
「???」
訳がわからず周りを見渡すと・・・私の後ろには少年が1人、立っていたのであった。